私の仕事

内田先生のブログから贈与論を拝読して、自分の職業にも当てはまるのかどうかを悶々と考えている。
私は福祉業界の仕事をしているため、贈与論をそのまま当てはめると、「福祉=贈与」という事になるのだが、それが結構ピッタリなのではと思えてきた。社会福祉サービスなどの活動において、それが等価交換として成立するというのが幻想なのではと考えたからである。


福祉サービスを受ける利用者は、福祉サービスがなくても、存在し続けてきた。そもそも福祉サービスは提供者有りきである。提供者がその存在に気づいて、行ったものであるから贈与である。
これを「提供者がニーズ把握を行い、必要なところへ適切なサービスを提供し、適正な代価を得る」といった現代経済の論法を用いると、たちまち福祉サービスは等価交換になってしまう。
福祉サービスは等価交換のように定量化できるものではないと思う。仮に同じサービスを行ったとしても、利用者によって価値が変わる。物理的に全く同じもの、同じ機能ではない。定量化できないものを「等価」として「交換」は不可能だと思う。


では、等価交換でないとすると、提供者は何を得るのか。


内田先生の言葉を借りると、それは「レスペクト」のみではないか。他にも得られるものはあるのかもしれないが、今の私にはわからない。
福祉サービスは、経済的基盤が必ずしも強くない人たちに向けての行為である。そもそもお金をあまり持っていないひとたちからえられるものといえば「レスペクト」より他にない。


つまり、私のしている福祉業界の仕事は、金にならない、しかしとてもわかりやすい形で利用者のレスペクトが得られる可能性のある仕事なのである。