野生の読書感想文

娘が読書感想文を書いた。
初めて書いたにしては、よく書けているが、ひとつだけ問題がある。


文を横に書くか縦に書くか、どっちかにしてほしい。


これは読みづらいと思った時、ハッと気がついた。
原稿用紙は、こういうのを防ぐためにあるのかと。


なぜ学校では原稿用紙に感想文を書かせるのかと、ちょっと疑問には思っていた。
何度も書くならば、ノートでもいいのにと。
しかるに、いざ野生の読書感想文を見てみると、読みづらい。文字は読めるが文の体としては崩れている。
今まで手紙は書いたことがあるが、誘導線が入っているので、その線に沿って書いてくれていた。なので、読めていた。
今回の文は、全くの白紙に文字と絵が書かれているので、一応読めるが横に書かれている部分もあるし、縦のところもある。


小学校の感想文が原稿用紙で書かれるのは、こうした書き方を統一して指導しやすくするためだと考えられる。
原稿用紙は、偉大であると同時に、思考を定型化する装置としても機能している。


実は、今この文は白紙にボールペンを使って書いている。平常はパソコンだが、今日は手で書いている。おそらく手で書く文章とパソコンを使って綴られた文は、少々違うのではないかと思う。同じように、娘が白紙に書く文と、原稿用紙に書く文はすこしばかり違うのではないかと思うのである。


感想文の後、原稿用紙に書かれた別の文を読んだ。
丁寧に書かれているが、勢いというか荒々しさはないと思えた。整った文章であるように思えたのだ。前の感想文はおそらく、彼女の刹那的な思いが本当に書き付けられていたんだなと思う。


どちらかと言えば、私は娘の野性的な文が好きである。