Perfumeの「アキハバラブ」を黒歴史とした理由

私はPerfumeの隠れファンであり、歴史の浅いにわかである。
今回は、Perfumeのネタの中でも古典になりつつある「アキハバラブ」のことについて、思うところがあるため書こうと思う。


Perfumeは今でこそテクノポップアイドルとして他の追随を許してはいない状況であるが、かつてテクノポップを基軸とした現在のスタイルではなく、アイドル歌謡路線であったかと思う。そういった時期を経て「アキハバラブ」をターニングポイントとして現在のテクノポップ路線を獲得し、今に至ると言ってもよいのではないかと思う。
ここで、問題なのが「アキハバラブ」が(現在はどうなのか計量不能であるが)一部のところで「黒歴史」とされているということである。

黒歴史(くろれきし)とは、アニメ作品『∀ガンダム』に登場した用語。物語中では、過去に起きた宇宙戦争の歴史の事を指す。
転じて、無かったことにしたい、あるいは無かったことにされている過去の事象を指すスラングとして用いられることもある。


つまり、Perfumeの歴史の中で「アキハバラブ」は、無かったことにしたいものとして制作者のみならずファンまでもが考えているのである。


私はその考え方がよく理解できなかった。


2005年夏に「アキハバラブ」を歌っていた時点では、黒歴史にはなっておらず、むしろPerfumeの活動における当時の絶頂的通過点であったはすである。そして、その後の「未来型テクノポップユニット」が社会的支持を得なかった場合は、現在までが黒歴史となり、「アキハバラブ」は過去の栄光として語り継がれているはずである。
つまり、歴史というのは、事後的に規定されるものであり、もとから「黒歴史」として刻まれる時間は存在しないのである。


それをして「アキハバラブ」が黒歴史であるとする理由はいったい何であろうか。


これは「仕掛け」なのである。
もし、「アキハバラブ」を黒歴史としなければ、Perfumeは長い下積みを経てメジャーデビューをする平凡なアイドルユニットとしての社会的立場をとることになる。そこにあえて「アキハバラブは黒歴史である」という際だったダークサイドを設置することによって、長い下隅とメジャーデビューとの間に時間的歪みを作ることができる。
こうして、歴史に「タブー」を作り出すことによって、Perfumeはただのテクノポップアイドルではなく、唯一無二の存在となることができたのである。


制作者サイドはこの「タブー」を巧妙に隠している。
それは、知られたくない黒歴史だからではなく、隠すことで現在のPerfumeがあるからである。


アキハバラブ」が歌われることは、今後おそらく無いであろう。
にわかファンとしては、とても残念なのである。